共同研究・競争的資金等の研究課題
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文化財建造物修理にみられる新技術の導入-桂離宮御殿群整備工事の評価の視点から-
研究課題/領域番号:25K08118 2025年4月 - 2029年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
高野 麗, 平賀 あまな, 斎藤 英俊, 鶴岡 典慶, 倉島 玲央, 西川 英佑
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
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慶長伏見地震における社寺建築の被害・復旧についての学際的考察
研究課題/領域番号:22K20468 2022年8月 - 2024年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 研究活動スタート支援
西川 英佑
配分額:2860000円 ( 直接経費:2200000円 、 間接経費:660000円 )
本研究では、慶長伏見地震(1596年)の直後に行われた法隆寺境内建物の慶長修理における貫補強を考察した。資料調査・現地調査・数値解析を行い、この補強が効率よく施工でき、高い補強効果を持つ方法であったことを明らかにした。
また、補強前後の状況を再現した法隆寺東院廻廊の縮小模型を作成し、載荷実験・振動実験を行い、回廊は地震時に平面的に中央が凸になる振動モードと中央と両端が逆位相となる振動モードで揺れる傾向があり、貫補強は特に前者の固有振動数を上昇させ、耐震性能の向上に寄与することを明らかにした。 -
近代建築発展の礎としての宮内省内匠寮の研究と設計史料の高度利用化
研究課題/領域番号:22H00233 2022年4月 - 2027年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
平賀 あまな, 斎藤 英俊, 白木 ひかる, 矢野 賀一, 西川 英佑
配分額:31850000円 ( 直接経費:24500000円 、 間接経費:7350000円 )
本研究は、旧東宮御所、表慶館、旧帝国京都博物館本館、旧帝国奈良博物館本館を中心に、宮内省内匠寮が関わった活動全体を研究対象とし、建築図面、設計図書等の史料の分析と実際の建物の調査により、(1)近代建築への橋渡しとなった構造・設備の新技術の導入と開発、(2)近代建築デザインに影響を及ぼした新材料の利用と工夫、(3)建築施工の近代化の萌芽となる制度・体制の構築、に注目して詳細に分析し、内匠寮の建設事業を評価し、日本近代建築発展に果たした役割を明らかにするものである。第1年度である本年度は、(1)については、耐震性を考慮した鉄骨補強煉瓦造の構造設計を、(2)については、花崗岩を中心とした石材の調達と加工技術を、(3)については、設計、発注・契約、現場管理、直営・請負、技術者・職人の養成などを主に分析した。史料の高度利用化に向けての作業としては、宮内庁宮内公文書館、各国立博物館所蔵史料のうち、特に下記の史料についての分析を行った。
①宮内庁宮内公文書館所蔵の旧東宮御所設計史料である、『東宮御所工事録(仕様書)』のデータ化と目録の作成、『東宮御所事務提要』内容のデジタル化と分析②宮内庁宮内公文書館所蔵の旧帝国奈良博物館、旧帝国京都博物館の設計史料である『京都及奈良博物館建築工事録』の内容のデジタル化と分析③東京国立博物館所蔵の表慶館図面について、図面数の特定。
現地調査としては、国内旅費を用いて、明治期の花崗岩産地についての調査を行ったほか、日銀京都支店等の同時期の建築について現地調査を行い、宮内省による建物との材料・施工技術の比較のための資料を収集した。
対面、zoomにおいて、明治期の近代建築への橋渡しとなった構造・設備の新技術の導入と開発についての研究会を開催した。これらの研究成果について、日本建築家協会建築交流部会主催の「近代洋風建築研究会」において2度発表を行った。 -
途上国の組積造建物耐震化に向けた滑り免震機構の開発と社会実装基盤の整備
研究課題/領域番号:20KK0103 2020年10月 - 2025年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
桝井 健, 李 相勲, Sanjay PAREEK, 荒木 慶一, 高木 次郎, 鈴木 裕介, 榎田 竜太, 郭 佳, 西川 英佑
配分額:18720000円 ( 直接経費:14400000円 、 間接経費:4320000円 )
(a)滑り免震機構で利用する現地材料の調査分析:現地で比較的容易に入手が可能であって、施工が容易で、現在の施工方法からの変更が少ないという条件を満足する材料として、黒鉛が表面に塗布された鋳鉄球を用いることが有効であると分析された。この結果に基づいて、鋳鉄球の適用性について継続して検討した。
(b)滑り免震機構の静的・動的特性評価実験:現地での建設予定建物に採用する滑り免震機構として、鋳鉄球とスタイロフォームによって構成される免震層を用いることが検討された。この免震層について、施工性検討試験を実施し、良好な試験結果を得た。この結果に基づいて、滑り免震機構の基本仕様の策定を完了した。さらに、地震動を与えた時の振動台実験を実施するとともに挙動のシミュレーションを実施し、振動台実験の結果を精度よく再現できることを確認した。これらの結果について、現在、論文をとりまとめている。
(c)滑り免震機構を備えた小学校建設:現地に赴いて、ネパールの研究協力者であるTribhuwan大学Shrestha准教授と建設候補地について検討した。また、Tribhuwan大学に設置されたShock Tableという衝撃力を与える振動台を見学し、この振動台を利用して提案免震機構を備える不整形石積組積造の振動台実験の計画について協議を行った。
(d)滑り免震機構の社会実装にむけた基盤整備:不整形石積組積造以外の組積造建物の設計指針策定に向けた技術資料整備を完了した。