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多角化をすすめる社会的企業のガバナンスと支援システムに関する研究
研究課題/領域番号:19K01932
2019年4月
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2024年3月
日本学術振興会
科学研究費助成事業
基盤研究(C)
橋本 理
配分額:3510000円
(
直接経費:2700000円
、
間接経費:810000円
)
本研究は、地域社会が抱える複合的な課題の解決にとりくむ社会的企業のガバナンスのあり方と支援システムの提起を目的としている。
本年度には、社会的企業に関する理論分析や最近の世界での研究動向の分析、協同組合による高齢者介護・生活支援の現状の分析、協同組合における社会福祉経営の理論的分析を進めた。
また、昨年度同様、covid-19の影響により、聞き取り調査が困難な状況が続いたため、中小企業や協同組合の歴史をたどり、今日の社会的企業の取り組みに類するものを抽出して分析を試みた。
協同組合による高齢者介護・生活支援に関しては主として生協を対象とした実態調査を行った。その実態の詳細を明らかにし、取り組みの意義について考察した結果、生協では、生活者のくらしを総合的に支える生協の事業活動の蓄積を活かして、縦割りの制度のなかでは十分に満たされない人々の必要に応える仕組みをつくりだす工夫がなされていることが明らかとなった。人々の生活上の必要は制度の枠組みを越えて存在するが、その必要に対して生協では生活全般にわたる総合的な取り組みを活かした対応がなされている。生協の多角的な経営が生協の社会福祉経営に活かされている可能性が想定されるが、この点については実態を踏まえたさらなる分析が必要となる。
上記の実態調査およびその分析の成果の一部は、論文として成果発表したが、次年度以降も引き続き、研究ノートや論文、学会報告等によって成果発表を行う予定である。
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地域福祉を推進する持続可能な社会福祉法人の“三方よし”型経営モデルの開発
研究課題/領域番号:17H02607
2017年4月
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2021年3月
日本学術振興会
科学研究費助成事業
基盤研究(B)
関川 芳孝, 安立 清史, 橋本 理, 橋川 健祐, 柴田 学, 竹内 友章, 川本 健太郎
配分額:15470000円
(
直接経費:11900000円
、
間接経費:3570000円
)
本研究では、地域の問題解決に取り組む社会的企業の経営をモデルとしつつ、文献研究およびフィールドワーク及びインタビュー調査をもとに、こうした新たなニーズにも対応し、持続可能で社会福祉法人の存在価値を高めるガバナンス改革の道筋を明らかにした。
社会福祉法人制度改革を振り返り、公益性を高める制度改革の意義をあらためて分析し、社会福祉法人をサードセクター(市民セクター)における非営利の公益法人として位置づけるものであると結論付けた。研究成果の一部は、『社会福祉法人はどこに向かうのか』(大阪公立大学共同出版会 2021年発行)において取りまとめた。
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環境統合型生産システムの構築と地域創生に関わる国際比較研究
研究課題/領域番号:16H03657
2016年4月
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2019年3月
日本学術振興会
科学研究費助成事業
基盤研究(B)
中瀬 哲史, 細川 孝, 牧 良明, 金 恵珍, 下畑 浩二, 中村 真悟, 藤木 寛人, 山口 祐司, 宮崎 崇将, 李 捷生, 宇山 通, 田口 直樹, 橋本 理, 上田 智久, 坂本 清, 粂野 博行, 小田 利広
配分額:15990000円
(
直接経費:12300000円
、
間接経費:3690000円
)
資本主義市場経済が地球規模にまで外延的に拡大し、地球温暖化問題を初めとする地球環境問題、資源問題が一層深刻化している。一方で、日本国内に目を転じると、地方消滅が心配されるほどに地域創生が焦眉の課題となっている。本研究の成果は、これらの課題に対して「環境経営」という社会的共有価値の創造が、企業をして社会的責任を実現させるとともに、地域創生にも不可欠な要素である点を明らかにしたことである。
つまり,企業が環境に配慮しつつ、社会との連携を進め、環境技術を活用して動脈流と静脈流を統合する一方、その地域特性を活かして地域内で価値循環することで地域創生に寄与しうる「環境統合型生産システム」を明らかにした。
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社会的企業の経営実態と制度的基盤に関する国際比較研究
研究課題/領域番号:15K03703
2015年4月
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2018年3月
日本学術振興会
科学研究費助成事業
基盤研究(C)
橋本 理
配分額:4160000円
(
直接経費:3200000円
、
間接経費:960000円
)
本研究は社会的企業の経営実態と制度的基盤について分析をおこなった。具体的には、医療生協や高齢者生協、NPO法人などを事例としてとりあげた。また、日本・韓国・英国の社会的企業の国際比較を行った。
本研究では、社会的企業が社会的弱者のためのサービス供給と就労の場の創出によって社会の必要に応えていることを示した。また、社会的企業において民主的な意思決定の仕組みが採用されていることに注目した。社会的企業は、事業性と社会性を同時に追求しており、その点が社会的企業のマネジメントの特徴となっていることを明らかにした。
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中山間地域における連帯経済を基盤とした持続可能なコミュニティ福祉に関する調査研究
研究課題/領域番号:15K03970
2015年4月
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2018年3月
日本学術振興会
科学研究費助成事業
基盤研究(C)
北島 健一, 岩満 賢次, 金子 勝規, 柴田 学, 牧野 松代, 橋本 理
配分額:4550000円
(
直接経費:3500000円
、
間接経費:1050000円
)
本研究は、現代日本の中山間地域で現れつつある農民・住民主体のさまざまな経済的取組みを研究対象とし、連帯経済論の視角から、それらの生成を説明する要素として、経済的社会的背景(農業収入の低迷、耕作放棄地の増加、人口減少、高齢化など)よりも、その背後にある社会関係に着目して研究を行った。島根県益田市の現地調査および農業経済学・農村社会学分野等の文献研究から、今日、農村部で生まれつつある種々のイニシアチブは、高度経済成長時代の自給の後退=市場経済の浸透がもたらした農家経営の危機、集落機能の低下を背景にした、女性の自己実現の欲求や「集落の危機バネの力」を基盤に現れていると考えられる。
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レジリエントな職域社会を形成する社会起業型コミュニティワークの実証的・開発的研究
研究課題/領域番号:26285141
2014年4月
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2017年3月
日本学術振興会
科学研究費助成事業
基盤研究(B)
牧里 毎治, 関川 芳孝, 安立 清史, 橋本 理, 武田 丈, 川島 ゆり子, 白波瀬 達也, 川本 健太郎, 柴田 学, 橋川 健祐
配分額:15600000円
(
直接経費:12000000円
、
間接経費:3600000円
)
本研究では、社会起業およびコミュニティワークに関する理論研究、社会起業のコミュニティワーク実践に関する全国実態調査、事例研究の3つの柱で研究を進めてきた。
地域社会の維持や再生に関してコミュニティワークに、ビジネスを含む手法で役割や出番を創出する社会起業を統合した社会起業型コミュニティワークが地域社会の再構築に一定の役割を果たすことを示した。
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高齢者支援における日英ボランタリーセクター比較研究-史的・政策的・実践的分析
研究課題/領域番号:25380808
2013年4月
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2017年3月
日本学術振興会
科学研究費助成事業
基盤研究(C)
森 詩恵, 脇坂 幸子, 林 真由美, 藤澤 宏樹, 橋本 理
配分額:4420000円
(
直接経費:3400000円
、
間接経費:1020000円
)
本研究は日英高齢者支援のボランタリーセクター(以下、「VS」とする。)に焦点をあて、その政策や活動研究を行った。主な成果は、イギリスでは、行政とVSの「パートナーシップによる協調」をもとに、VSの下請け化の回避政策がとられ、介護者支援では介護者による支援の経済的価値の算出、介護者の休息や休暇の保障や所得補償等が実施されていた。これらは、今後のわが国における高齢者介護サービス供給主体のあり方や介護者支援の検討に非常に重要な内容である。わが国では、VSごとに介護保険制度や行政との関わり方の多様化・草の根レベルでの介護者支援の活動が明らかになり、とくに今後はサービス介護者支援政策が必要といえる。
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環境統合型生産システムの構築に関する国際比較研究
研究課題/領域番号:25285119
2013年4月
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2016年3月
日本学術振興会
科学研究費助成事業
基盤研究(B)
中瀬 哲史, 田口 直樹, 橋本 理, 李 捷生, 坂本 清, 牧 良明, 宇山 通, 上田 智久, 金 恵珍, 中村 真悟, 藤木 寛人, 宮崎 崇将, 片渕 卓志, 恵 浩星, 山口 祐司, 小田 利広, 津川 礼至
配分額:17160000円
(
直接経費:13200000円
、
間接経費:3960000円
)
われわれは,環境経営を現実にするため,環境技術の革新,それを活用する企業の理念、その環境経営を支える社会の連携が不可欠であることを明らかにしてきた。今回の研究で地域経済の落ち込みを実感して,地域経済の再生と環境経営の実践の両立を目指した。そのために以下の重要さが明らかとなった。第1に,企業や行政等の地域のプレイヤーが地域資源の強みを共有すること,第2に、現実に地域資源の実態に合わせて,具体的に環境経営の理念を各プレイヤーに付与すること,第3に、当該地域外とも有効なネットワ-クを構築することである。以上によって,環境経営の実現,その企業経営の確立,地域経済の発展につながることを明らかにした。
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福祉NPO・社会的企業の経営実態と支援システムに関する研究
研究課題/領域番号:24730354
2012年4月
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2015年3月
日本学術振興会
科学研究費助成事業
若手研究(B)
橋本 理
配分額:2600000円
(
直接経費:2000000円
、
間接経費:600000円
)
福祉NPO・社会的企業について、その経営課題と支援システムのあり方を明らかにした。具体的には、第1に、福祉NPO・社会的企業の理論研究を行った。第2に、福祉NPO・社会的企業に関する基礎的データを収集した。第3に、介護保険事業や障害福祉サービスを提供する福祉NPO・社会的企業の実態調査を行った。第4に、福祉NPO・社会的企業の国際比較を行った。第5に、以上を踏まえて、福祉NPO・社会的企業の経営課題を示し、支援システムのあり方を提起した。
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社会参加と社会貢献に寄与する「社会起業」と地域再生に関する実証的地域福祉研究
研究課題/領域番号:23330189
2011年4月
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2014年3月
日本学術振興会
科学研究費助成事業
基盤研究(B)
牧里 毎治, 安立 清史, 関川 芳孝, 橋本 理, 武田 丈, 山本 隆, 定藤 繁樹, 川村 暁雄, 川本 健太郎, 柴田 学
配分額:19240000円
(
直接経費:14800000円
、
間接経費:4440000円
)
本研究では、社会起業理論研究、社会起業全国実態調査、事例研究の3つの柱で研究を進めてきた。
とりわけ、現代的な社会的排除等の社会問題の解決策の一つとしての社会起業と、その安定的、継続的な組織の有り様として、ヨーロッパにおいて社会的包摂の方策として政策的にも推し進められてきた社会的企業の有り様に着目した。
その結果、新たな仕事づくりとその組織の運営・経営が、行政とのパートナーシップやコミュニティとの関係性の中で成り立っていることを明らかにした。
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多様化する「不安定居住」層と包摂型居住支援に関する研究
研究課題/領域番号:22330167
2010年
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2012年
日本学術振興会
科学研究費助成事業
基盤研究(B)
中山 徹, 水内 俊雄, 全 泓奎, 福原 宏幸, 橋本 理, 垣田 裕介, 吉中 季子, 嵯峨 嘉子, 稲田 七海
配分額:8580000円
(
直接経費:6600000円
、
間接経費:1980000円
)
本研究は、ホームレスとその周辺にいる人々の広がりと居住支援として視点からのホームレス支援の在り方に関する研究である。本研究成果は、第一に、多様な不安定な居住状態にある人々の特徴を把握することであり、若者や障がいを持っている人々等その広がりが確認できた。第二に、彼らに対する支援内容は極めて多様であることが明らかとなった。第三に、学術論文だけでなく、「伴走型支援」を担う人材育成の契機となったことにある。
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循環統合型生産システムの構築に関する国際比較研究
研究課題/領域番号:22330119
2010年
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2012年
日本学術振興会
科学研究費助成事業
基盤研究(B)
中瀬 哲史, 田口 直樹, 李 捷生, 坂本 清, 橋本 理, 牧 良明, 宇山 通, 片渕 卓志, 金 恵珍, 上田 智久, 杉本 通百則
配分額:18980000円
(
直接経費:14600000円
、
間接経費:4380000円
)
私たちは、現在危機に瀕するといわれる地球環境問題の解決のため、いかにして、動脈経済-従来から存在する活動で、人間の生産活動によって資源から製品が生み出され、社会に供給される活動-と静脈経済-人間による消費活動により廃棄物となったモノを新たな資源として動脈経済に還元する経済活動-を組み合わせ、循環型社会を構築するのかを明らかにしようと研究した。現在では、環境に対する理念を持った企業、その企業と協力しうる地域社会、環境技術、の存在が環境負荷を減らしうる要因だと結論している。
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ワーク・インテグレーションに取り組む社会的企業の機能条件と支援政策に関する研究-就業支援と雇用促進の日本型モデル構築の基礎分析
研究課題/領域番号:201001051A
2009年4月
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2011年3月
厚生労働省
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
松本典子, 西村万里子, 橋本理, 吉中季子
資金種別:競争的資金
本研究は、「労働市場への統合を目指す社会的企業(Work Integration Social Enterprise: WISE)」の実態調査を行い、WISEによるソーシャル・インクルージョンの促進に必要な政策提起を目的とする。
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社会的企業・コミュニティビジネスの存立条件と基盤整備に関する研究
研究課題/領域番号:18730266
2006年
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2007年
日本学術振興会
科学研究費助成事業
若手研究(B)
橋本 理
配分額:1500000円
(
直接経費:1500000円
)
本年度は、昨年度に実施した英国における社会的企業やコミュニティビジネスに関する文献収集と現地でのインタビューをもとに、日本における社会的企業やコミュニティビジネスの基盤整備に関する検討を進めた。また、昨年度に引き続き、英国をはじめとしたEU諸国の現状を把握するために、文献収集とその整理を進め、社会的企業やコミュニティビジネスに関する現下の状況把握に努めた。そのうえで、日本における社会的企業・コミュニティビジネスの存立条件と基盤整備の課題に取り組むために、経営学・企業形態論の観点から分析を試みた。
以上から導きだされたことは以下の諸点である。まず、英国をはじめEU諸国では、社会政策上の課題として、社会的排除の克服という問題が注目を集めており、社会的に排除された人々をどのように社会に包摂するか、すなわち、ソーシャル・インクルージョンの観点への関心が高まっている。そして、社会的企業は、ソーシャル・インクルージョンの手段として、対人社会サービス供給や労働市場への統合という分野で期待を集めている現状があるということがわかった。他方、今日の日本の社会的企業やコミュニティビジネスは、まだ萌芽的段階にあり、日本の諸事業が対象としている領域は、中心市街地活性化や農山村振興、環境問題への取り組み、社会福祉領域の活動などと広範にわたっているものの、その強みをどのように活かすかについては試行錯誤の状況にある。このようななか、社会的企業を経営学的に研究するためには、経営学や企業形態論の基礎理論を踏まえて分析を進める必要があり、さらには、対人社会サービス供給と労働市場への統合を担う事業組織について、経営学的分析を積み重ねることが必要となる。今後、これらの諸課題について、経営学および企業形態論の再構築の作業と並行しながら分析を進め、社会的企業論と企業形態論を包括した研究成果として公表する予定である。
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